弘前市緑の相談所
1980年



 コンクリート造
外壁には弘前市役所新館や博物館で使われた同じ煉瓦タイルが使用されている。煉瓦の建物の向こう側は前川事務所としては初となる勾配屋根を採用する。サクラの木に囲まれて建築される建物に水平ラインを特徴とした今までの前川デザインを調和させる難しさを正面に流れるような勾配のきれいな屋根で解決しれいる。
サクラが多い弘前公園の中に同化したこの建物には建築家のサクラにたいする優しさのようなものを感じます。





 正面はサクラの枝が垂れている事を意識した屋根形状。


 サクラの木に囲まれた外周。




 西側の庭からは裏側の大きなサクラが見える。サクラが主役という意図が感じ取れる。


 西側の庭を抜けると裏側(北側)に配する中庭に通ずる。そこには大きなサクラの木がある。


 建物の裏に廻ると大きなサクラの木がある。設計にあたり敷地内のサクラの木は1本も伐ることが無かったという、そのサクラを包み込むように緑の相談所は配置計画された。

 正面とは異なりこちらは水平屋根にはなっていない。こちらはサクラの大樹を建物から眺めることを意識していて正面とは違う桜との対話を意識した外観。

 すべての写真でも判るとおり緑の相談所は周囲のサクラに包み込まれるように建っているが、同じ弘前公園内にある市民会館も樹木の違いはあるが松の木に囲まれ弘前公園の中に同化している。前川事務所の設計理念が時代に流されず昔から変わらないことを感じる。
 緑の相談所を包みもみながらサクラの木はまだまだ成長を続ける。



 樹齢は忘れてしまったけどかなりの時間ここに合ったと思わせる見事なサクラを主役とした中庭は弘前市民でも知る人は少ない。ベンチに腰掛けてコーヒーなんかいい感じ・・・。



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